欧州の人々は、最初は欧州共同体で、次いで欧州連合で、四十年以上にわたって力を合わせてきた経験から、自分たちが共有する文化、多様な文化として受け継がれている共通の文化遺産の計り知れない豊かさを強く意識するようになりました。まさにこの多様性こそ、私たちが共有する遺産の豊かさの表れといえましょう。そして欧州のオーディオビジュアル部門、なかでも映画は私たちの文化遺産の重要な位置を占めています。欧州でも大半の人はまだ気付いていないでしょうが、欧州のオーディオビジュアル産業は、世界でも屈指の活気にあふれています。ところが、残念なことに、欧州で制作される作品の八十パーセント以上は、制作された国以外で鑑賞されることはありませんでした。 ここおいて欧州連合は加盟国の内部にとどまらず、域外の国々とも交流を促進する手助けをするという重要な役割を担っています。
しかし、今日の欧州の文化を国際的にもっと知ってもらおうという努力のきっかけとなったのは、文化的な理由ばかりではありません。情報社会の到来によって、世の中が大きく変わろうとしているなか、欧州のオーディオビジュアル部門を支援する根拠はここにあるのです。
大阪ヨーロッパ映画祭は、欧州の映画に対する国際的認知をもっと高めるという目的にかなうものです。今年のプログラムもまた、今日の欧州を形作っている文化の多様性を示しています。映画は、日本だけではなく、世界の果ての地域に住む人々にとって、欧州の人々の美的感覚、思想、価値観、感情にじかに触れる貴重な手段です。 日本映画が欧州の芸術と映画製作に重要な影響を及ぼしてきたように、ここ大阪で開催されるヨーロッパ映画祭が欧州の知性と感性を日本の文化に溶け込ましていく役に立てると、私は確信しています。
大阪ヨーロッパ映画祭の運営にあたっているみなさんのご協力をたたえると同時に、この映画祭が欧州と日本の相互理解、相互認識をさらに深めるのに貢献できることを願っています。










