50代の独身女性アニータ。彼女が30年以上働いた古い映画館は、新しくシネコンに建て替えられ、取り壊されようとしていた。建物が建てかわり、新しいイメージに年老いた彼女はふさわしくないと言う理由で、ある日、いとも簡単に解雇されてしまったアニータ。失業し大きなショックを受けた彼女は、映画館のあった跡地に足を運ぶことだけを日課に失意の日々を送っていた。「チケットガール」として、単調な日々を送りながらも充実していた映画館での日々。思い出をたどりながら、建設現場を訪ねるうちに、そこで働く妻子ある若い男性と恋に落ちてしまう。何の未来もない刹那的な情事は、彼女の孤独をひと時癒す一方で、さらにやり場のない虚しさを残す結果になる。仕事と恋と人生に、率直に向き合うことになるアニータは、この恋愛を通じて、もう一度自らの人生を見つめ直し、やがて新たな一歩を歩き始める。
|
現在、カタロ二アで最も注目を集めるヴェントゥラ・ポンス監督の最新の長編作品。映画は各地方ごとの言語で製作されるため、作品はすべてカタロニア語で構成されており、監督にとっては日本で紹介される5作目の作品となる。今までの彼の作品は比較的、感情を抑えたような作風が多かった中で、「アニータ」は最も人間味に溢れ、ドラマティックな展開が面白い秀作である。主演のロサ=マリア・サルダはスペインのトップ女優として、あらゆる賞を受賞している実力派の名優。ヒット作品を狙う世界中の映画市場が、今なお「若く美しい」ヒロインが定番の中、敢えて50代の、単なるチケットガールのアニータを主人公に、人生の後半にも人間らしい情熱や葛藤、希望があり、「愛」のためなら、未来がもう一度始まる姿が生き生きと描かれている。また、映画製作のプロフェッショナルではなく、チケットガールのアニータが語る映画と人生との関りも象徴的。














