アルゼンチン行きの飛行機を待つ二人の男女。空港のカフェでジェラールは突然、恋人のエレーヌに別れを告げ、飛行機で立ち去ってしまう。あまりのショックに自暴自棄になるエレーヌ。取り残された彼女は途方に暮れ、やがて、そのまま空港に棲みついて娼婦になってしまう。キャリーひとつの小さな荷物と、やり場のない孤独を埋めるように、空港に立ち寄る行きずりの男性と繰り返される虚しい情事。唯一、エレーヌの存在を気遣い、娼婦として生きるエレーヌに優しく振舞うのはカフェのギャルソン一人だった。エリートなのに子どものようにわがままな男性客、否応なく人間の本性と向き合う日々の中で髪を赤く染め、ファッションも日毎に派手になるエレーヌ。そこには、かつて大勢の目の前で恋人に捨てられ、理不尽な運命を受け入れるだけの彼女の姿は既になく、強い眼差しで自らの運命と正面から向き合おうとする一人の女性の姿があった。
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ガラス張りのパリ、オルリー空港を舞台に、恋愛に敗れたエレーヌが娼婦になり、彼女と彼女を通り過ぎる行きずりの人々と、やがては彼女自身が自らの力で新たな人生を歩み始める姿を描いた秀作。主演のドミニク・ブランはセザール賞を受賞し、自ら納得した作品にしか出演しないといわれているフランスの名女優。また、この作品で撮影を担当した日本人の永田鉄男はCM撮影で活躍したキャリアを持っており、それぞれのシーンがリズム感にあふれ、作品全体のビジュアルが、非常に洗練されたイメージに仕上がっているのも特徴。タバコやカフェ、香水、ひっきりなしに行き交う人々。本来、立ち止まって「暮らす」ことなど考えもしない喧騒と慌しさに包まれた空港で、小さなキャリーひとつに今までの人生をすべて詰め込んで彷徨いながら、人生の目的を捜す主人公。通過点でしかない空港で、数え切れない人々の発着を見送り、人生の傍観者として生きてきた彼女だったが、やがて力強く前に歩き始める。















