オランダ北部の丘陵地帯フローニンゲン。寡黙な農夫ヘンクの農場に、ある朝ポーランド人の女性アナが逃げん込んでくる。騙されて送りこまれた売春宿から逃げ出して来たのだ。やがてアナはヘンクの農場で働くことになる。父母の代から続く広大な農地を、たった一人で守り続けていたヘンクだが、執拗な立ち退きを迫られ、周辺の農村も衰退の一途をたどる中、人間らしい感情や表情も表に出すこともなく孤独な生活を送っていた。一方でアナは、故郷に一人娘を残し、貧しいながらも温かな気持ちを持ち、生き生きと農場の仕事を手伝い、やがてヘンクの日常生活を支えるようになっていく。ポーランド文化との対立や、言葉の壁にぶつかりながらも、淡々と営まれる静かな生活の中で、次第に心を通わせていく2人。そんなある日、アナが断ち切ったはずの「過去」が突然、農場に現われる。ヘンクは、ただ黙々とたったひとつしかない解決策へ向けて、自ら決断を下すのだった…。
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「ルート2000」と題され、オランダ政府と野心的な映画製作会社モテルフィルムスが共同でプロジェクトを組み、スタートさせた若い才能のための製作プログラム作品の一つ。
1949年アルジェリア生まれのカリム・トライディア監督にとって、長編作品のデビュー作となった。’98年ロッテルダム国際映画祭でワールド・プレミア上映され、スポンサー(シトロエン)が観客賞を受賞したのを初め、同年秋のオランダ映画祭ゴールデン・カーフ・プライズでも監督賞と主演女優賞を受賞するなど、作品から受けたメッセージに、若者を中心に多くの共感が寄せられた。
農夫とポーランドから逃げてきた女性との間に交される言葉は少なく、オランダという国土を舞台に、多様な文化のぶつかりあいと純真なヒューマニズムが、広大で荒涼とした自然を背景に美しく描かれている。わずか19日間で撮影されたとは思えないクオリティの高さにも注目したい。












