大阪ヨーロッパ映画祭も本年で6回目を迎える運びとなりました。例年に引き続き、本映画祭の為にご尽力を頂きました全ての方々、また、財政的、技術的にご支援頂きました諸団体、諸機関に改めて心よりお礼を申し上げます。 昨年を本映画祭生誕5周年という記念すべき年とするならば、今回はこれまでの基盤をもとに2000年に向けて私達主催者がこの映画祭を定着させていきたいという新たな決意のもとにスタートする年と言えるでしょう。
また、今年の映画祭は図らずも、革新的な技術によって様々な世界の再現を可能にした“動く画像”=映画を生み出した20世紀の幕を閉じる形となりました。 一般的に映画を“アクション”(活動)と定義づけるならば、その対象をヨーロッパ映画に限るとき、その定義はむしろ“ムーブメント”(動き)に該当するでしょう。このムーブメントは芸術であると同時に他の国や人々、またそれらの人々の考え方…といった様々な情報を提供する強力な媒体でもあるのです。そしてそれらを知ることは人が自己の存在を見出だすことにつながっていくと言えます。 今回の映画祭で上映される作品が取り上げている様々なテーマの裏側には、これらのムーブメントをいろいろな形で見ることができます。撮影現場となっている自在に動きがとれないスケートリンクでのスタッフの話や嫉妬に取りつかれてついには殺人を犯してしまう女の話、年老いた作家が心を開いていく変化の様子を描いた話や別れていく恋人達の葛藤の話、町の再開発による喧騒を描く話や情欲による苦痛に苛まれる男の話等々。この様に作品のストーリーの奥全体に肉体的あるいは精神的や心理的な“動き”が描かれており、それらの動きは実は作品の重要な要素となっているのです。
今年はポルトガルの船が初めて日本に上陸してから450年目にあたり、国内で様々な行事が催されています。そのような折、この第6回大阪ヨーロッパ映画祭の名誉委員長をポルトガル映画界の巨匠であり、「最も日本人的なポルトガル人」パウロ・ローシャ監督に努めて頂く事になった事は大変意義深いことです。ローシャ監督の作品の中には日本の文化や伝統がとり入れられたり、日本を舞台に撮影された映画が5本含まれており、一方本国でもポルトガル文化にまつわる詩や文化を象徴的に織り込んだ作品を撮る監督として知られています。ローシャ監督の最新作を日本で初公開する事に加え、これまでの氏の業績に対して大阪市賞が授与される事になり、私達も大変嬉しく思っております。
また本映画祭は、日本でもその著書、映画作品ともにたくさんの根強いファンを持つベルギー出身のジャン=フィリップ・トゥーサン氏にもオマージュを棒げたいと思います。氏は日本の文化に詳しいばかりでなく、実際日本にもしばしば滞在されており親日家としても知られています。今年、開催されているベルギーフェスティバル99の協力のもとに、アジアで初めてトゥーサン監督の新作や未公開を含む全作品を紹介する特集を行います。また、今年の大阪市賞ヤングシネマ賞は氏の最新作「アイスリンク」に送られる事になりました。 ヨーロッパを代表するこの両氏の存在は、例え周囲が厳しい経済状況下にあってもヨーロッパの映画産業が健在で活気に満ちており、内容が豊富でダイナミックな映画作品が製作し続けられている事を証明しています。 今回、私達の選んだ映画が天保山に足を運んでくださる方々にとりまして、喜びを生み出すものとなり、熟考、さらには討論の対象となる事を願って止みません。











