70年代半ば、すでにスイス映画界の旗手としての役割を担っていたアラン・タネール監督は、当時製作した映画のシーンの最後に子供を誕生させ、その作品のタイトル「ジョナスは2000年に25才になる」が示すとおり、その子は2000年に25才になることを告げていました。 そして、それまでこの続編を描くことのなかったアラン・タネールは、25年後再びこの登場人物に興味を抱き、時代の風潮に完全に逆行した概念とスタイルで映画を製作。彼独自の描き方で、「ふたつのミレニアムの間」に架かる架空の象徴的な橋の上を進んでいく若者と社会の姿を浮き彫りにしました。 この作品は、彼のこれまでの作品の精神を受け継ぐ、敢えて問題を問いかけようとする映画であり、美的および哲学的な面をあくまでも追求する映画監督としての姿勢は、私たちの映画祭が求めているものと等しいように思われます。 アラン・タネールを今回の映画祭の名誉委員長として迎え、彼の作品全体に対して「大阪市賞」を授与し、「ジョナスとリラ」を日本における彼の初公開作品として上映できることを非常に嬉しく思います。 今回も、大阪ヨーロッパ映画祭の当初の精神に則って、劇場公開予定の映画とともに、おそらくはこの映画祭が日本での唯一の上映の場となる映画を取り上げ、知名度の高い監督の作品ならびに新人監督の作品を紹介し、馴染みのある顔ぶれだけでなく新しい顔と才能に出会える場を提供します。いずれにしても時代の潮流を代表する実に多様性に富む作品群となっています。 恒例の未公開映画上映会とそれに続くディスカッションでは、エットーレ・スコラの最新作をはじめ、フィルム・ノアールの伝統を復活させたイヴァン・ゴティエの処女作、昨年ドイツの観客がドイツ映画を見直すきっかけとなった「サン・アレイ」、監督の純粋で厳しい主張がうかがえる作品「骨」を紹介します。 また、短編映画特集では、伝統的手法のフィクションやコンピューター・グラフィックスによる作品とともに、ベルギーのアニメーターの中で最も重要な存在であり、1995年に第2回大阪ヨーロッパ映画祭のゲストとして既に来日しているラウル・セルヴェのアニメーション2作品が上映されます。彼の短編作品の回顧上映会は、吉本興業株式会社主催で12月より日本で開催されます。 「映画塾」は、どなたでもご参加いただけますが、特に大学生や専門学校生に向けに組んだプログラムとなっています。作品「イルマ・ヴェップ」の上映に引き続き行われるディスカッションでは、「映画における『映画』の表現」というテーマを取り上げます。進行役はジャン=フィリップ・トゥーサン。彼の最新作「アイスリンク:は、第6回大阪ヨーロッパ映画祭で日本での一般公開に先だって上映さましたが、この作品はつい数日前にも日本で再上映されていました。 小説家および映画監督としてすでに日本で高い評価をうけているジャン=フィリップ・トゥーサンが、再び映画祭に参加。今回は写真家としての新たな一面を披露してくれます。大阪ヨーロッパ映画祭が、彼にとってベルギー以外で開催される初めての展示の場となるわけです。そのタイトルとテーマは、2001年1月に日本で出版される彼の最新本にちなんで「セルフポートレート(異国にて)」となっています。 また、日蘭交流400年を記念して、オランダ発の長編映画を特集します。インディペンデント映画が非常に盛んなオランダですが、その作品は日本ではほとんど知られておらず、これが良い機会となってくれればと思います。 今回の映画祭で、新しい企画として注目されることになるのは、おそらく世界中から集めたコマーシャル・フィルムの上映でしょう。このプログラムは、ジャン=マリー・ブルシコがパリに誕生させ、以来20年間パリで最も人気のある催し「La nuit des publivores(CM喰らい放題の夜)」というイベントをモデルにしています。 映画祭のプログラムのひとつとしてコマーシャル・フィルムを上映することにより、私たちはコマーシャル・フィルムの当初の目的から離れ、その豊かさ、多様性、創造性を評価することができ、同時に笑いに満ちた陽気な雰囲気の中で映画祭の幕を閉じることができるのではないかと考えています。 技術的な制約から今年は、一晩中コマーシャル・フィルムを上映し続けるというパリでのイベントを再現することはできませんでした。しかし、来年にはこれを実現できるという約束をすでにとりつけていることをお知らせしておきます。 また今年から新たに、映画祭にお越しいただいた観客の皆様とゲストが直接交流できるパーティーが実現することになり、よりお楽しみいただけることと思います。 最後に、第7回大阪ヨーロッパ映画祭を開催するにあたりご尽力頂いたすべての方々と諸機関に対し厚くお礼を申し上げます。同様に、主催者を代表して、この映画祭を愛し続けてくださる皆様方に感謝申し上げるとともに、今年のプログラムを心から楽しんで頂き、この映画祭が発見と出会いに満ちた時間となり、皆様方のご期待に充分応えることができますよう、またプログラムを構成する中で私たちスタッフが味わった映画に対する喜びをこの映画祭を通して感じて頂けたらと願ってやみません。











