昨年10周年を迎えた大阪ヨーロッパ映画祭は、関西における重要な文化的、国際的な出会いの場であると同時に、日本で毎年開催されている主要な映画祭のひとつとして認知されています。
第11回大阪ヨーロッパ映画祭の特徴は、まず、日本初上映となる作品を中心としたプログラムだということです。プログラム編成にあたっては、例年どおり、多様性、品質、斬新さ、内容的な深みを重視しました。
多様性を重視した中でも、いくつかの大きな特色に気付かれることでしょう。まず、注目していただきたいのは、日本との文化協定締結30周年を迎えるベルギーの作品を取り上げたことです。今回は、ベルギー人俳優の中で最もカリスマ的存在であり、最も尊敬を受けている大スター、ヤン・デクレール氏を名誉委員長として迎えています。ヤン・デクレール氏は、『神父ダーンス』『アントニア』『キャラクター /孤独な人の肖像』など国際的な評価を得た数々の作品に出演しています(上記3作品は、ともにアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、また後者2作品は同賞を受賞)。今回上映する『アルツハイマー・ケース』もデクレール氏の主演ですが、この作品は、ベルギー映画史上において、ベルギー映画として最多観客動員数を記録しました。上映後のディスカッションでは、デクレール氏自身が映画について熱く語ってくれます。
また、本年大阪市とハンブルグ市との友好都市提携15周年を迎えるに当たり、ドイツからは、『僕の居場所』が出品されています。この映画は、ハンブルグ在住のトルコ移民ユクセル・ヤヴズ監督の野心作で、全編がハンブルグ市で撮影されました。因みに、2004年のベルリン国際映画祭の金熊賞を授与されたファティス・アキン監督も、ハンブルグ在住のトルコ移民でした。
イタリア人監督のエジディオ・エロニコの『My Father』は、意表をつく国際的なキャスティングで、心を揺さぶる物語を展開しています。父親がなぜナチス戦犯となったのかを探るために南アメリカへ向う息子、そして父、この2人が対峙する物語です。ドイツで人気上昇中のスター、トーマス・クレッチマンと映画界の大御所チャールトン・ヘストンの顔合わせにも注目が集まりました。アメリカ人であるチャールトン・ヘストンが、このヨーロッパ映画で見せた演技は過去最高だと評価されています。
ジャック・ペラン(第9回大阪ヨーロッパ映画祭の名誉委員長)のプロデュース最新作『コーラス』は700万人以上の観客を動員した本年度のフランス映画の最大のヒット作で、『アメリ』の国際的記録を更新中です。『コーラス』は、本映画祭のオープニング作品として、日本初上映されます。
『希望の色』は、1980年代初めに全盛を誇ったパンク・グループ「ザ・スキッズ」の元メンバーのスコットランド人、リチャード・ジョブソンが初めて監督した長編映画で、『トレインスポッティング』に出演したケヴィン・マクキッドとユエン・ブレムナーが出演。実話に基づいたこの感動作の上映後のディスカッションでは、熱い議論が交わされるでしょう。
『ウィルバー』は、『幸せになるためのイタリア語講座』で世界的に有名になったデンマーク人女性監督ロネ・シェルフィグの最新作。この作品は、シェルフィグ監督がデビュー以来、支持してきたラース・フォン・トリアーによるあの有名なドグマ運動の規則から少し逸脱しています。才能溢れるこの監督が、新たな路線を歩み始めたのかどうかを判断するのは困難ですが、完成度の高いこの作品が、私たちに感動を与え、私たちの心に焼き付くインパクトを持っていることは間違いありません。
『雲の南側』という作品は—私としては、ロード・ムービーのカテゴリーに「限定」したくはないのですが—ロード・ムービー特有の要素を持っています。作品の中でのさまざまな出会いとともに、ユーモア・優しさ・深刻さなどが醸し出される逸品で、第11回の本映画祭で是非ご鑑賞いただきたい作品です。
恒例の短編映画特集ですが、本年は、2004年タンペーレ国際短編映画祭の受賞作品の中から6本を特集上映し、上映後には、タンペーレ国際映画祭の代表をゲストに迎えてディスカッションを行います。
驚き、情熱、感動を喚起する作品が目白押しの今回の大阪ヨーロッパ映画祭ですが、これらの多彩なプログラムは、クロージング上映となるスペインの喜劇映画『トレモリノス73』で締めくくられます。上映後には、ご支援いただいた企業から提供された賞品の抽選会が行われます。
大阪ヨーロッパ映画祭は、「日本初上映」となる最新のヨーロッパ映画作品の上映に加えて、さまざまなイベントを開催しています。写真展、美術展、講演会、レトロスペクティブ、パーティー、ディスカッション、サイン会、特別上映など、充実した内容のイベントの詳細をこのカタログでご覧いただき、是非、ご参加いただきたく存じます。
最後になりましたが、第11回大阪ヨーロッパ映画祭の実現のために、ご支援ご尽力いただいた各社および諸機関、諸団体の方々、個人的にご協力くださった方々に対して、心から御礼申し上げます。











