大阪ヨーロッパ映画祭は、毎年、関西地方の皆様にたくさんのヨーロッパ映画をお届けしています。本映画祭での上映が日本初公開という作品も少なくありません。短編映画からCM、不朽の名作から最新作までを網羅した大阪ヨーロッパ映画祭の多種多様なプログラムは、欧州連合(EU)の映像・音響産業の活気をお伝えしているといえましょう。
多元性と多様性はEUの基本的な価値です。ヨーロッパ映画は、EUの多様性を文化的に表現する手段として重要な役割を果たしています。2003年には、現在EUに加盟している25カ国で725本の映画が製作され、のべ10億人の観客が映画館に足を運びました。これは90年代半ばのほぼ1.5倍に相当します。今年5月の拡大によってEUには、2,500万人近い映画人口を抱えるポーランドのような、映画製作と鑑賞に関する豊かな伝統を持つ国々が加わったのです。
欧州委員会の「MEDIA Training(メディア・トレーニング)」プログラムおよび「MEDIA Plus(メディア・プラス)」プログラムには、合わせて5億ユーロの予算が割り当てられており、映画専門家の養成、製作プロジェクトや製作会社の立ち上げ、映画や映像・音響作品の販売促進と配給、および映画祭への助成、などに用いられています。今年の大阪ヨーロッパ映画祭で上映される作品の中にも、メディア・プログラムの支援を受けているものがあります。デンマーク・スウェーデン・英国の共同製作による『ウィルバー(仮題)』にはメディア・プログラムの資金が使われており、フランスでハリー・ポッター・シリーズの最新作を上回る人気を集めた『コーラス』は、メディア・プログラムの国外配給の支援を受けて、本国同様の成功を目指しています。
今年のベネチア映画祭で、欧州委員会のビビアン・レディング教育・文化担当委員(11月1日より情報社会・メディア担当)は、第4次メディア・プログラムにあたる「MEDIA 2007」において、資金をこれまでの倍にするという計画を発表しました。「MEDIA 2007」は、国内市場から国際市場へと流通する映画作品の割合を、現在の10%から20%に引き上げることを目標としています。
日本は、ヨーロッパ映画産業にとって重要な市場です。英国の『ディープ・ブルー』やフランスの『トゥー・ブラザーズ』といった作品は今年大きな成功を収めました。『ディープ・ブルー』は今年初め、日本の単館上映作品としては記録的な観客動員数を打ち立て、小泉首相も鑑賞されています。
大阪ヨーロッパ映画祭は、斬新で独創的なヨーロッパ映画を紹介する場を提供するという点においてだけではなく、監督や俳優、プロデューサー等、ヨーロッパ映画の製作にたずさわる人々が大阪を訪れて、活発なセミナーや討論を通じて自作を語る機会を提供するという意味でも、特に大きな意義を持つイベントであるといえます。来年、日本とEUの市民間で人と人の交流を促進し、相互の社会に関する理解を深めることを目指した2005年「日・EU市民交流年」を迎えるにあたって、このことは一層の重要性を帯びてくるでしょう。
ここで、『アルツハイマー・ケース(仮題)』の主演俳優であり大阪市賞を受賞されたベルギーの大スター、ヤン・デクレール氏に一言、お祝いの言葉を述べたいと思います。メディア・プログラムの配給支援を受けているこの作品の日本での成功をお祈り申し上げます。デクレール氏は、大阪ヨーロッパ映画祭の名誉委員長という大役をも引き受けられ、『アルツハイマー・ケース』の上映後には氏による講演が予定されています。
最後に、大阪ヨーロッパ映画祭の主催者および来場者のみなさまが、楽しく、胸踊るヨーロッパ映画週間を過ごされることを心より願っていると申し上げて、挨拶に代えさせていただきます。











