昨年、大阪ヨーロッパ映画祭は12周年を迎えました。「12」という数字は、古くから中国において天文学上、一つの周期を表す数字とされてきましたが、その意味で、大阪ヨーロッパ映画祭はめでたく最初の一章を完結したと言えます。もし、この記念すべき節目に「これまでの映画祭の中でどれが一番素晴らしかったか」と尋ねられていたら、フランスの映画監督クロード・ルルーシュの名文句を真似て「これから始まる映画祭だ」と答えたことでしょう。いよいよ、第13回という新たな一章が幕を明けようとしています。“ヴィンテージ”と呼ぶに相応しい、選りすぐりの作品を揃えた今年の映画祭を皆様にお届けできることを大変光栄に思っています。
今年も当映画祭では多彩なイベントを開催しますが、その心髄をなすのは傑出した長編映画、短編映画をお届けする日本初上映作品です。『グルバビツァ』は、ボスニア紛争がもたらした傷跡を描くと同時に、愛の強さを教えてくれる作品でもあります。『クロッシング・ザ・ブリッジ』は、トルコのメガロポリス、イスタンブールとその音楽の多様性に捧げる讃歌です。『アンチエイジング・ロマンス』は、観客を男女の恋模様のなかで繰り広げられるありがちな笑劇に引き込むものの、コメディというジャンルの枠に留まらぬ展開を見せてくれる作品です。イラク戦争を背景にしたロベルト・ベニーニの新作は、『人生は、奇跡の詩』。『ライフ・イズ・ビューティフル』の流れを踏襲しつつ、苦難を通じて成長する男の姿をコミカルなシーンと織り交ぜて創り上げた大人のための寓話です。『リタの息子』は、服役を終えて息子が帰ってくることになって以来、周囲の差別を無くそうと全ての力を注ぐ母の闘いの日々を綴っています。サスペンス風の作品『闇を走れ』は、これまでのポルトガル映画のイメージを打破し、現代風のつくりとストーリー展開を大胆に試みた作品です。『シモン』は、オランダ文化の集大成のような作品で、ドラッグ、安楽死、同性同士の婚姻といったオランダのトレードマークとも言える事柄を扱っていますが、その扱い方が更に作品のオランダらしさを引き出しています。『去り逝く君へ』は、小さなスロヴェニアの町を舞台に、叙情的な雰囲気の中、死への畏れに囚われている人々の繊細な心情を東ヨーロッパ流のブラックユーモアで紡ぎ出しています。『アイ・アム』は、孤児院から逃げ出し、故郷に帰って来た少年を描いた詩的情緒溢れる作品で、アーサー・リーンハートの撮る美しく柔らかな色調のイメージとマイケル・ナイマンの音楽が更に作品の素晴らしさを際立たせています。『ヴィートス』ではブルーノ・ガンツが天才少年の子供時代を見守る魅力的な祖父を演じ、子供から大人へと成長して行く若きモーツァルトを彷彿させる主人公を二人の印象的な子役がのびのびと演じています。『ミラーマスク』は、近年のファンタジーの中でも卓越した独創的な作品の一つで、少女ヘレナが自分探しの旅を通じて最後には希望の持つ力に気付くという物語です。
このような多彩なテーマ、モード、ジャンル、アプローチで取り揃えた2006年の日本初上映作品をご用意し、皆様と感動を分かち合えることを心待ちにしております。
また、このカタログでもご覧いただけるように、当映画祭では日本初上映作品の他にも「チェコ回顧展」、大阪・ミラノ姉妹都市提携25周年記念にちなんだ「ルキノ・ヴィスコンティとアドリアーナ・アスティへのオマージュ」、フランシスコ・ザビエル生誕500周年記念イベント、恒例のオールナイトパーティ、クロアチアの子供達による短編アニメーションをセレクトした「キンダーフィルム特集」、「3055 Jean Leon」のインターナショナル初上映、大阪ヨーロッパ映画祭 in TOKYO など多くの魅力的な催しをご用意しております。
最後になりましたが、第13回の開催にあたり、ご支援ご尽力頂きました各社および諸機関団体、また個人の皆様に心より感謝の意を表しご挨拶とさせて頂きます。











