関西地方は日本の文化的中心地です。そこで開催される第13回大阪ヨーロッパ映画祭が、優れたヨーロッパ映画作品を紹介する場であるだけはなく、さまざまな文化・芸術関連イベントを盛り込んだ幅広い内容のものとなっていることはうれしい限りです。この映画祭は、芸術への眼識を備えた関西の皆さまに、欧州の現代映画や現代美術を鑑賞する機会をお届けする一方で、俳優や監督が参加する特別試写会や討論会等を通じて欧州連合(EU)の一流の文化人と直接触れ合う機会も提供しています。それによって皆さまに、EUに対する理解や関心をさらに深めていただけることを期待しています。
EUのクリエイティブ産業とメディア産業は欧州経済の極めて重要な柱であり、合わせて欧州で最も成長の早い産業部門の一角を形成しています。欧州委員会のビビアン・レディング情報社会・メディア担当委員は最近、「欧州の人々には、伝統的な形式のみならず新しい形式の芸術を生み出す独創性と力が備わっている」と述べました。この分野における欧州委員会の真剣な取り組みは「eContentplus(eコンテンツ・プラス)」や「MEDIAPlus(メディア・プラス)」といった政策への支持と潤沢な資金提供に表れています。前者はEU全域でデジタルコンテンツを利用しやすくすることを目指したプログラムであり、後者は主として専門家の育成、製作プロジェクトや製作会社の開発、映画作品や音声・画像番組の配給や宣伝、映画祭の支援等を目的として4億5000万ユーロの予算で運営されています。
こういった欧州委員会の文化に対する取り組みをさらに強化するものとして、来年開始される予定の新たなMEDIAプログラムがあります。この「MEDIA 2007」の目標として、欧州の文化的多様性と欧州の映画文化や音声・画像文化を保護し、発展させること、それらの文化を欧州市民に開放し、異文化間対話を促進すること、EU域内外における欧州の音声・映像作品の流通を促進すること、そして、この分野における欧州の競争力を強化することが提案されています。
欧州の映画産業が引き続き好調であることを反映して、今回の映画祭が日本初上映となる作品の多くについては、その製作に深く関わっている人物の来日が予定されています。英国からはデイブ・マッキーン監督(『ミラーマスク』)、ドイツからは音楽家アレキサンダー・ハッケ(『クロッシング・ザ・ブリッジ』)、そして、新しくEU加盟国になったポーランドやスロヴェニアからはドロータ・ケンジェルザヴスカ監督(『アイ・アム』)とヤン・スヴィトコヴィッチ監督(『去り逝く君へ』)をはじめとする多くのゲストが映画祭に参加します。
また、ポーランドやスロヴェニアと共に2004年にEUに加盟したチェコの映画を扱った回顧展、そして、クロアチアのキンダー・フィルム特集の開催についても、大変うれしく思います。クロアチアはまだ正式な加盟国ではありませんが、2005年10月に正式に加盟交渉が開始されて以来、着々と加盟プロセスを進めています。 本年は、欧州と関西地域の関係の長い歴史の中でも2つの意味で記念すべき年であります。ひとつは大阪とミラノの姉妹都市提携25周年で、これを記念してヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞を受賞したルキノ・ヴィスコンティ監督の大作『若者のすべて』の特別上映が行われます。よりよい暮らしを求めてミラノへ移住する女性とその4人の息子たちを描いたこの作品の主演女優アドリアーナ・アスティが、今年の映画祭の名誉委員長として来日し、上映会に参加します。もうひとつ、1506年にスペイン・ナバーラ州に生まれ、日本に初めてキリスト教を伝えた聖フランシスコ・ザビエルの生誕500周年を記念して、ザビエルの生涯を描いたドキュメンタリー『JAVIER』が上映されます。
大阪ヨーロッパ映画祭はこのように過去を現在によみがえらせることにより、欧州と関西地方の深く広い関係を浮き彫りにしています。この関係こそ、欧州委員会が積極的に強化・推進していこうと努めるものであり、私どもが昨年、神戸大学を中心とした日本で2つ目のEUインスティテュートを創設したのもそのためであります。 最後に、欧州委員会を代表して、今年の大阪ヨーロッパ映画祭のご成功を心よりお祈り申し上げます。






