東京近郊の新興住宅街で起きた少女連続殺傷事件から3年後、事件の加害者として逮捕された14歳の少年が少年院を仮退院する日がきた。母親の永遠子(とわこ)は危篤状態にあるという郷里の母の臨終に立ち会うために、家族とともに郷里の九州にある離島へ帰ることを決意する。追われるように東京を離れた家族にとって、遠い島もまた安息の地ではなかった。少年の背負った罪に追いつめられる家族。少年の妹は口がきけなくなっていた。九州の離島を舞台に、現代の贖罪と魂の救済を模索する家族の漂流の旅が始まった。罪を償うということは、いったいどういうことなのか。罪を犯した者に、救済はあり得るのか。そして、犯罪者の家族には?「カタルシス」はこの重いテーマを静かに、私たちに投げかける。また、「死ぬことは生きること、生きることは死ぬこと」であるという、生きる者と死ぬ者との本質を、美しい南の島を舞台に、「次代の生を養うための死」の意味さえ込めて描き出している。
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