過疎化が進む奈良県吉野村。山間ののどかな土地で田原家は家族5人で暮らしていた。この村には15年前から鉄道を通す計画が持ち上がっていた。当主の孝三も工事に携わっていたが、中止の知らせを聞いてすっかり気力を失ってしまう。父孝三に代わり、家計を助けるために甥の栄介と町の旅館で働くことになった妻の素代。体の弱い素代は、勤め先の旅館で倒れてしまう。栄介に以前から特別な思いを寄せる中学生の娘、みちるは、栄介に看病をしてもらう母親に、嫉妬心を抱いていた。そんなある日、孝三が突然姿を消し、帰らぬ人となる。やがて家族の元に遺品として彼の愛用していた8ミリカメラが届けられる。そこに写っていたのは、村の人々や風景だった。一家は村を愛していたが、その思いとは裏腹に離れ離れになっていく。素代は実家に帰ることを決意し、栄介と一緒にいたいと嫌がっていたみちるも母についていく。祖母と栄介は旅館に住み込みで働くことになっていた。家族で過ごす最後の日に、栄介は孝三の遺したフィルムを流す。
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奈良市出身の河瀬直美監督の長編デビュー作。脚本も監督が手がけてた。1997年のカンヌ国際映画祭で日本人初のカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞。河瀬監督はこのとき27歳で、同部門における受賞はカンヌ史上最年少という快挙を成し遂げた。日本のみならず、世界でも高く評価された作品である。このほか、ロッテルダム国際映画祭で国際映画批評家連盟賞も受賞している。主役のみちるを演じた尾野真千子は、シンガポール国際映画祭主演女優賞を受賞。出演者の中で、プロの俳優は父親役の國村隼だけだった。自然の豊かな村を愛し、そこでひたむきに生きる1つの家族を通して、はかない生と死が淡々と描かれている。父親が亡くなったことにより、残された家族がこれまでやり過ごしてきたことを正面から向き合うようになっていく。ラストで、それぞれが村を出て行く前に、そこで生きてきた一つの証として父親が残したフィルムを揃って観るシーンにじんわりと感動がこみあげる。











