レバノン出身の青年ジャラは、友人と共にドイツへ留学する。間もなく彼らはある人物の勧めもあり、モスクに通うようになる。熱心に祈りを捧げる同胞たちの中で、ジャラはモハメド・アタやマルワン・アルシェヒら過激派グループと出会う。そのころ世界では、チェチェン紛争や各国アメリカ大使館襲撃事件が激しさを増していた。テレビに映し出されたその様子をじっと見つめるジャラ。そんな彼に過激派グループが声をかける。次第にジャラはモスクだけでなく、過激派グループの集まる場所にも頻繁に出入りするようになっていく。ある時、ジャラは恋人にも行き先を告げず、長期間不在にした。戻ってきたジャラを彼女は責め立てるが、優しいまなざしで心からの謝罪の言葉を口にする彼は彼女もよく知る“いつものジャラ”だった。彼女は彼を許し、受け入れるが、時折見せるジャラの荒々しい言動にはやはり困惑を隠せないでいた。その後、ハンブルクに集結した過激派グループにある使命がくだされ、彼らは動き始める。
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イギリス人監督アントニア・バードによる、9.11の悲劇を正面からとらえた初のフィクション映画。公開書類、捜査、裁判文書、個人取材、やりとりされた非公開の手紙など徹底的な追跡に基づきながら、新人を抱き込んでアフガンのキャンプやフロリダの航空学校で訓練させる原理主義者たちの影の世界に肉迫する。と同時に、監督はテロリストたちの人間的側面に着目し、大量殺戮者になるようし向けられた男たちの驚くべき心の奥底を描き切った。とはいえ、作品はテロリストたちの動機を正当化しようとはしない。ごく普通の青年だった彼らの心理変化、そして社会的・宗教的・思想的・政治的な力――画面に映る光と影の激しい対比は、現在の世界が持つそれである――を観客に理解させようと、さまざまな出来事の連続を淡々と呈示するだけである。もちろん多くの情報はまだ機密であり、この映画も自らが絶対的あるいは正確だとは主張しない。事実はこうであったかもしれないという一つの推論である。検証しようにも、あの若者たちはもう、この世に存在しないのだ。
















