定職にも就かず、友人らとパブを開く計画を立てる他はまったく平凡な毎日を過ごしていたマリオが、亡き父の残した手紙をつてに役所に勤めることになる。公共墓地を管理する部署へ配属されたマリオは、自前のコンピューターを使って順調に仕事をこなしていく。同僚からも仕事ぶりに評価を受けるが、それを疎ましく思う上司はマリオに墓地の管理費を徴収する仕事を言いつける。向かう先の多くは貧しい家庭で、マリオはあらゆるところで罵詈雑言を浴び、意気消沈してしまう。ある日、マリオは美しい女性を見かける。葬式に出席し、悲嘆にくれているその女性に声をかけることもできなかったが、後日再会。リンダというその女性とマリオは恋に落ち、日ごとに愛を深めていくが、彼女は留学のため渡米してしまう。リンダがいなくなり、友人や母親との間にも些細なことから溝が生じてしまったマリオは、今の安定した生活に疑問を持ち始める。そんなマリオの下にある大きなプロジェクトが持ち込まれる…。
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仕事は人間に尊厳を与えるだろうか? 仕事で自己実現しながら幸福感を高められるだろうか? そうかもしれない、と作品はほのめかす。現実に妥協さえすれば――。表層的には一人の青年の「息子(子供)から男(大人)へ」の成長物語であり、その前に立ちはだかる失業率の高さや母親との確執など主人公の悩みは日本の観客にも素直に共有できるだろう。が、監督自らが「イタリアに対する愛と怒りがいっぱいに詰め込まれた作品」と主張するように、作品はイタリア社会の現代絵巻ともいえよう。官僚主義、愛情、欲望、仕事に埋没する情熱や夢…。それぞれの場面で監督の強い反発が見て取れる。広告業界出身のアレッサンドロ・ダラトゥリは、現在もっとも興味深いイタリア人監督の一人。CF制作時代に培った技術を惜しみなく投じ、作品をテンポよく仕上げた。表現はしばしばコミカルで明るく、実にイタリア的だ。ちなみに作品のインスピレーションは、「勝負に乗る」ことの重要性と必要性を説いた現・イタリア大統領のスピーチからという。
















