1958年、フランス・スイス国境に近いレマン湖畔の避暑地。静かな湖水、手入れの行き届いた森。シャンデリアのきらめくホテル。自称「ロシアの伯爵」ヴィクトールは、30歳の上品なロマンチスト。自称「女優」のイヴォンヌは、輝くブロンドが美しい22歳。彼女は刹那的に夢に生きる女。彼の心は、彼女の脚、ブラウス、まなざしの虜に。言葉も交さないうちに、抗い難い欲望が昂まり、愛の裏面である絶望へゆるやかに墜ちていく。イヴォンヌは香りのような女。ワルツや陶酔にも似ている、甘い夢を食べる女。刺激的で、胸騒ぎのする、宿命の女。二人はひと夏激しく求めあう。夜ごとのパーティ、ドライブ、テニス、クルージング。シャンペンの泡のような享楽。それから、彼女は行方をくらます。思い出以外、何も残さず。彼は、ひと夏の激しいロマンスの追憶に、彼女を思い生ぎていく。『髪結いの亭主』では女性への憧れと純愛を、『仕立て屋の恋』では献身を、『タンゴ』では執着をと、一貫して男性から女性への愛の幻想、愛の強さを描いてきたルコント監督の待望の新作は、避暑地に繰り広げられる、ロマンティシズムとエロティシズムあふれる、若く美しい男女の、ひと夏の激しい恋を描く。
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