『シャドーランド』はすでに古典的とも言えるテーマによる、愉快で、しかしもの悲しい現代の物語りである。主人公は離婚した両親の間で心を引き裂かれる一人の少女。6才のローラは父親が家族を捨てようとしていることに気付く。父親との最後の旅でローラは忘れられない時を過こす。父親はローラに絵本を見せて、世界のなぞをときあかす。それから二人でロマンテックな蚤の市をぶらつき、ローラは父親に手品師がかぶる帽子を買ってもらう。二人で古い蓄音機の音楽に合わせて踊る。そして、ローラが思っていたようにやはり父親は彼女と一緒には帰らない。ローラは失われた世界を呼び戻そうとする。彼女の人形は命を得て、秘密の影絵劇の登場人物となり、父親との最後の旅に彼女を連れ戻す。しかし、そのとき影絵のスクリーンにろうそくの火が燃え移ってしまう。20年後、ローラは失われた少女時代を取り戻そうとして、屋根裏部屋の戸棚で見つけた焼けたスクリーンを一生懸命直す。そこで20年前の人形も見つける。 ローラは蚤の市で父親と踊ったあの踊りをもう一度、と思うのだった。この『シャドーランド』では音楽に重要な意味がある。大人になったローラはレコード屋を経営し、母親は歌手で、映画の終わりでベルリオーズのLe spectre de la rose"を歌う。その音楽はローラの少女時代を呼びさますことになる。ケース・ピン監督はこの一種の家族劇を撮影するにあたり人間の心理状態を直接描くことはほとんどせず、深刻なテーマを常にユーモアでくるんでいる。
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