音楽学校の学生ポールは、著名なピアニスト、ケニントンのコンサートで譜面めくり(ページターナー)を担当し、ケニントンや彼のエージェントのマンサリマンの目に止まる。実直で、まだ幼さの残るポールは、夫と別れ、息子に自らの夢を託し、日々の感情もありのまままに共有しようとする母パメラと2人で暮らしていた。ある日、休暇でバルセロナを訪ねたポールとパメラは、同じ地でケニントンのコンサートが開かれることを知る。手を尽くし、憧れのケニントンが滞在するホテルを探し出すポール。しかし、若く才能溢れるケニントンが興味を持ったのはポールの音楽の才能ではなく、男性としての魅力だったのだ。エージェントぐるみの音楽とはかけ離れた男色の世界に、「夢」との代償に苦しみながらも身を沈めていくポール。掌中から飛び立とうとする息子に戸惑う母パメラとともに、厳しい人生の現実に向き合っていく。
|
ヴェントゥラ・ポンス監督はベルリン国際映画祭に5年連続エントリーの快挙を成し遂げている実力派。従来の彼の作品の大半は、カタロニア語で撮影されていたが、本作品は英語で、出演者のほとんどがイギリス人である。また、一般的にプロットが重視された作品が多い中、登場人物の人格を重視する傾向にあるため、俳優は劇団で活躍する実力派揃いだ。原作は98年にアメリカで出版された小説で、作者のデヴィト・リービットは過去10年間、アメリカにおける最も人気のある作家の一人。舞台はアメリカだが、ヴェントゥラ・ポンス監督は北米のモラルをベースに、ヨーロッパのモラルを絶妙に調和させている。同性愛が扱われているが、作品のテーマである「人間関係」は同性愛にこだわることなく、全ての人間関係に目を向け、人間関係を築くことの難しさは、国境を越えた共通の課題であることを物語っている。また、時の移ろいを描いた作品が少ないポンス監督作品の中で、主人公の成長が描かれている点も興味深い。















