スイスで大規模な民間の放送局が開設された。ある通信会社が番組の製作を請け負い、 犯罪をテーマにした映画を作るために、被害者から事件の放映の権利を買うことにな る。ロズモンドは権利を売った。8年前、彼女は自分を犯そうとした男を殺害したの である。証人のいないその事件は、結局、公訴棄却になった。若き作家ポールは、製 作者ヴィンから、当時のロズモンドの生活をもとにした脚本を書くように依頼される。 ところがロズモンドは自分の過去をまったく思い出すことができない。ポールは、彼 女に質問するが、彼女は心を閉ざしてしまう。そこで新人女優マリーがロズモンドの もとに送られる。もしロズモンドに語らせることができたなら、マリーはその映画に 出演できるのである。物語は二人の女の奇妙な関係、彼女たちの間に少しずつ芽生え てゆく友情を中心に展開する。
(コメント) 「ロズモンドの話」は「サラマンドル」のリメークではない。確かに出発点は同じであ る。物語のない人々の物語を語るためにメディアの世界を導入する。ところでメディアはあらゆる場所へ出かけ、あらゆる物を白日の下にさらす。時に暴力的に、時に挑戦的に、対象となる人物の醜悪な面を求めて血眼になる。メディアには対象に対するやさしいまなざしはない。「ロズモンドの話」は違う。「ロズモンドの話」は寓話である。物語を失った人が物語を取り戻すために「語り」はじめる。この「語り」に耳を傾ける、対象に対しやさしいまなざしを向ける、メディアが失いつつある世界を蘇らせる。この意味で「ロズモンドの話」は寓話なのだ。
96年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式上映作品













