「安寿と厨子王」で有名な森鴎外の小説「山椒大夫」を映画化した、日本近代映画界の巨匠、溝口健二監督の代表作品。舞台は平安時代末期、越後を旅していた母子連れは、道中で人買いに騙されて引き離されてしまう。安寿と厨子王丸の二人の子どもは、丹後の大地主・山椒大夫の荘園に奴隷として売られ、毎日を過酷な労働に苦しめられる。山椒大夫のもとで10年の苦労を耐え忍んだ姉弟は、ある時、別れた母が生きていることを知り、荘園から逃げ出す決心をする。しかし逃走する二人に追っ手が迫り、安寿は弟を救うために囮となって池に身を投げる。やがて生き延びた厨子王丸は国守となり、母を求めて佐渡へ赴く。
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誘拐され奴隷として売られた幼い姉弟と、母との別離の物語を、重厚な演出で描いた日本映画史上に残る傑作である。弟の厨子王丸は成長し、逃亡に成功。然るべき地位を得た後、長い年月を経て、老いて盲目となり、人里はなれた海辺の貧しい小屋で暮らす母と再会する。母と子の生き別れ、幼い者への容赦ない労働、10年にわたるさまざまな重苦しい苦難が、生きて再びめぐり合えた奇跡の瞬間に、瞬く間に報われる様子が胸を打つ。「西鶴一代女」「雨月物語」に次いで3年連続ヴェネチア映画祭入賞の快挙を果たし、世界にMizoguchiの名をとどろかせた往時を代表する名作。海をパン撮影で捉えたラストシーンは美しく、後年、ゴダールが「気狂いピエロ」で同様のシーンを再現したことでも有名。我が国を代表する名作に、今回の映画祭において初めて、「音楽」との融合による新しい魅力を探る。この試みが、日本とヨーロッパの新たな文化の架け橋となることを願いたい。















